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療養の道

2003.3.20


  日本人が療養の重要性を意識して初めて書物に記したのは実に古く、今から一千数百年前(平安時代)に表された「医心方」の養生篇と食養篇です。原本は国宝として大切に保存されています。その後、江戸時代までは戦乱で慌ただしい世の中であったためか、人の健康法を考えるゆとりはありませんでした。江戸時代にはいり大衆の生活にうるおいがもたれ、心に余裕をもつようになると思考の範囲が広がりました。健やかな人生や長寿を願うようになりました。このような時期に八十四歳まで長生きした儒学者貝原益軒が自分の健康法として行ってきた生活の過ごし方を書いたものが「養生訓」です(1713年)。自分の命と身体は自分だけのものではなく天地、父母から授かったもので、みだりに自分勝手に傷つけたり命短くすることは申し訳のない行為と説いています。養生とは、人が努めて「生」を「養う」こと、「元気」の「気」を大切に保っていくことと述べています。「養生訓」には日常生活の総てにわたって訓話が述べられていますが、療養の基本的なことは次の通りです。


      
精神の平静を保つことに心がける
      毎日の楽しみを見つけて生きる
      激動を避けながらも身体を動かすように努める
      大食をしない
      食事は淡白にする
      あつい湯に入らない
      少量の酒を嗜む


 いま日本人に勧められている健康法は医学的根拠に基づいて(EBM)作られた「健康日本21」があります。九項目からなるテーマで書かれていますが、その生活の過ごし方の基本は糖尿病療養生活そのものです。従って厚生労働省は日本国民に糖尿病生活を勧めていることになります。
しかし最も理解でき、覚えておける言葉は五七五調の健康標語かと思います。次の標語の二つ、三つを覚えておきましょう

 

歩かずに やたらに乗るくせ 悪いくせ
医療費を 食費にあてる ママの知恵
腕相撲 息子に負けて 嬉しさ隠す
栄養の バランスくずす 好き嫌い
「おれは達者」 危ないその無理 その過信
貫禄は 腹を出すより 汗を出せ
休養の つもりのごろ寝 ます疲労
苦労して 治療するより まづ予防
健康は 小さな努力の 積み重ね
献立は 目につくものより 身につくものを
爽やかな 朝の目覚めは 早寝から
知っていて 病気のもとを 作るまい
ストレスを 減らすよい趣味 よいレジャー
生活の リズムにしよう 健康づくり
そのうちに やるでは遅い 健康づくり
食べ過ぎは 胃腸と財布に 負担かけ
血が通う 母乳で育つ 健康児
疲れたら ぐっすり眠って すっきり回復
徹夜のマージャン 健康オジャン
泥と土 子供が健康 こねている

 ――つづきは後日――