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糖尿病食のとり方はいたって簡単

2003.6.20


   老後の生活をいかに健康的に過ごせるかはその人の四十代、五十代にどんな食べ方をしたかで決まると言われています。いま八十代で元気な人の身体つくりは昭和55年前後の食事のとり方が栄養学的に非常に理想的だったからです。つまり米飯を主食とし、多様な食品をバランスよく食べていました。当時の農政審議会はこの食事のとり方を典型的な「日本型食生活」と名付けました。これによると三大栄養素の配分は蛋白質12〜13%、脂肪20〜30%、炭水化物57〜68%となています。これからの栄養素が円滑に代謝されるためには適量のビタミン、ミネラルをとるように勧めています。

 しかしその年代以降からは脂肪摂取量が増大し、炭水化物が減少しています。さらにこの炭水化物の主役である米の消費量が減少し、とうもろこし消費量が米を上回って増大しています。とうもろこし消費量が増えるのは奇異に思われますが、牛や鶏の飼育にとうもろこしが使われており、炭水化物の一部が動物性蛋白、脂肪に転換されいるのです。つまり日本人の食生活は欧米化し、献立もカタカナメニューのものが多くなりました。従って糖尿病患者さんの食事も、学校給食も一ヶ月の食事メニューの7割は外国料理(中国、韓国も含めて)になってきています。これを全く逆にして7割頻度の日本食にすると立派な糖尿病食事療法になります。

 それでは日本型糖尿病食はどのようにとるかをお話します。まづ一日三食中二食は和食にします。和食の基本は主食(ご飯)を中心として、主菜と副菜、汁物の「一汁三菜」をいいます。この配食は日本古来のものであり、これを忠実に守った食事の記録が残っています。それは徳川家康と天皇家の食事です。とくに家康は病やかましく、食事は健康食となるよう内容を充分に吟味し、質素な食事をとったといわれています。

  昭和天皇 徳川家康
主食 麦入りご飯 麦めし
主菜  わらさ(小型のぶり)の照焼き いわしの焼き物
副菜1 小いもといんげんの味煮 ごぼう、大根の煮物
副菜2 ほうれん草のおひたし  煮豆
汁もの わかめのみそ汁  大根のみそ汁
香の物 きうりとなす きうりと人参のみそ漬
果物 柑橘もの  


   主食を中心とする食べ方は日本、韓国など数カ国のみで欧米ではありません。従って欧米での満腹とはおかづですることになります。主食ではご飯が腹もちが良く、副菜の味を引き立てるのに良いです。一食のごはんを150gから200gを頑張って食べてください。

 主菜は魚又は肉となります。自分の掌(指の部分をはづして)すっぽり入るくらいの魚または肉料理として下さい(掌サイズ)。副菜は野菜の煮物料理が良いです。さらにもう一皿加えるとしても野菜か豆料理です。
この食事スタイルを乱さないで、少量の調味料を使って料理していくと日本型糖尿病食となります。

 日本型糖尿病食は健康食、長寿食ですから、当病院ではアメリカ西海岸在住の日系二世、三世の糖尿病患者さんにこの食事を勧める計画を立てています。その結果は改めてご報告します。