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問題の解答と解説   先月の問題へ

2004.10.27

  前回掲示した問題の説明を致します。恐らくこれを見て全問正解の方はおられなかったかと思います。最近の話題と療養生活の具体的な問題を難問、奇問として作ってあります。

Q1
(誤) 家系に糖尿病の方がいると糖尿病になる可能性は大きいです。しかし、普通の人でも病気、外傷、ストレス、薬剤、妊娠が一時的に尿糖を引き起こすことがよくあります。しかし、これらは糖尿病の誘発因子でもあり、尿糖を認めた時は検診をすることが好ましいです。

Q2(正) 糖尿病遺伝子とライフスタイルが膵臓B細胞からのインスリン分泌低下と末梢組織のインスリン抵抗性を引き起こし高血糖をまねきます。
Q3 正、糖尿病の治療で尤も大切なことは糖尿病をよく理解することです。それにより食事、運動、薬物による治療効果が十分に発揮され血糖値が安定します。

Q4(誤) 糖尿病の重症度を治療法で判断はしません。糖尿病の併発疾患がどの程度のものかに関係します。どの病気でも進行して死に直面する重症度と同じです。1型糖尿病でインスリン注射を一日5回、6回もする元気な子供、若者は沢山いますが、糖尿病重症とはいいません。

Q5(誤) 合併症を防止するにはヘモグロビンA1c6.5%を保つことが必要といわれています。一年間の内ヘモグロビンA1c6.5%が2、3回あっても合併症防止になるとは言えません。これまでヘモグロビンA1c7.0%以上であった人が今月から6.5%になったからといって安心はできません。要は6.5%以下の継続が必要です。(平成16年からヘモグロビンA1c6.4%以下とされています。

Q6(正) 後期合併症は動脈硬化によるものです。

Q7(誤) 網膜は映像の写るところですが網膜全体でものを見ているわけではありません。網膜の中心部(黄班部)から離れたところに大きな病変が出ても視力に影響がないことがあります。

Q8(誤) 一時的の高血糖は網膜に関係しませんが高血糖が持続している時、頻回の低血糖がおこると網膜に変化を起こすことがあります。

Q9(誤) 糖尿病内服薬はいずれもインスリンまたはインスリン類似薬ではありません。インスリンは血糖値を下げる働きだけではなくもっと多くの働きをもったホルモンです。

Q10(誤) 糖尿病内服剤は正しい内服のしかたによって十分に効果がでます。しかし服用時間を忘れて間もなく服用しても良いものもあり、医師、薬剤師より説明を受けて下さい。その日の内に服用すると良いものではありません。

Q11(誤) ヘモグロビンA1cはこれまで一ヶ月間の平均血糖値を反映しています。したがって受診数日前から調整してきても余りヘモグロビンA1cの良い結果は期待できません。

Q12(正) その通りです。

Q13(誤) 運動療法には血糖低下の急速効果と持続効果がありますが、いづれもインスリン分泌を介するものではありません。

Q14(誤) 低血糖に最も注意を要しますがその他に薬剤の用い方、飲酒、併用薬剤、薬疹、肝障害などにも注意が必要です。

Q15(誤) 糖尿病患者には歯の病気がよく出ます。食べるものに関係なく朝夕で歯磨きを心がけて下さい。

Q16(誤) 足指の間や足裏の皮膚病は真菌症によるもので不潔のためではありません。真菌に対する抗生物質を用いると良くなります。

Q17(誤) 血糖コントロールの良い悪いはヘモグロビンA1cでいうのが一般です(糖尿病学会編 糖尿病治療ガイド2004-2005)。血糖値の良いコントロールは血糖値を生理変動内に保つことで、低血糖が起こるような治療管理のあり方は好ましくありません。

Q18(誤) 外来患者さんの24%が正しいと思っていたのは残念です。

Q19(正) 自己血糖測定を長期間おこなって合併症の発病頻度や進行を調べた大規模試験はまだ見当たりません。個人的見解で述べると、日課として自己血糖測定をしている人は几帳面な人が多いです。さらに自己血糖測定をしている人のヘモグロビンA1cはしていない人よりも良いように思われます。ヘモグロビンA1cの悪い人に比べ良い人は合併症の予防と進行防止は十分に抑えられている報告は多数有ります。

Q20(誤) 質問で述べている数字は正常人の血糖値です。糖尿病患者さんが目標に血糖値にもっていくと正常者になります。

Q21(誤) 食事量の指示単位は朝昼夕に3等分にすることが望ましいです。表2、表4は食間でとるのが好ましいし、夕食に多少配分を多くしても構いません。

Q22(誤) みりん35g、1単位となります。調味料は一日0.5単位の範囲で用を足して下さい。

Q23(誤) 食事療法では一日指示単位を3食でとるのが基本です。一日2食主義は徐々に血糖値を悪くします。

Q24(誤) ごはんと魚、肉の交換はできません。交換できるものは同一表の中でだけです。

Q25(誤) 食品交換表ではさとう20g、はちみつ25gが1単位になっています。いずれも一日0.2単位(さとう4g、はちみつ5g)で下さい。

Q26(誤) 植物油はすべて10g1単位です。この範囲で各植物油を用いるのは良いでしょう。

Q27(誤) アルコールを多量に飲んでも表1との交換はできません。アルコールは1gが7キロカロリーではありますが、栄養素は含んでいません。宴会でお酒を飲んでも一日の食事指示量は全部とらねばなりません。

Q28(正) 糖尿病食では少量であればなんでも食べたり、飲んだりするのは構いません。ちなみにポカリスエット200ccには砂糖24g含まれています。

Q29(誤) 外食では野菜が不足します。果物は外食時ではなく、別の食事の時にとるようにしておきましょう。大事なことは表1、表3、表6を毎食事でとることです。

Q30(誤) 中華料理の野菜は大抵は調理して出されます。この時の味付け、油に注意しなければなりません。したがって中華料理を頻回にとるのはさけましょう。