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コーヒーは糖尿病発病を予防する

 

2005.10.19

 癌をはじめ多くの病気を予防するとか、直すといった民間薬、食べ物、飲み物の話は沢山あります。学問的に立証されているものはさほどありません。糖尿病にしても然りで、民間薬に300万円、500万円使ったけれど効いたものは一つもなかったという話さえ聞かれます。

 200211月医学雑誌ランセットにオランダの研究者が1万7千人の糖尿病のない男女を7年間追跡調査した研究を発表しました。それによるとコーヒーを一日7杯以上飲む習慣の人たちは一日2杯以下の人たちに比べ糖尿病発症率が半分であったと報告しています。この話題は発表された医学雑誌が世界でトップレベルのものですから研究成績の信頼性は高く、世界中の研究者が追試しました。米国では男女12万人の調査で一日6杯以上飲む人では飲まない人と比べ糖尿病発症率が3割から5割低下したと報告しています。その後もスエーデン、フインランドの報告など9つの報告が2004年に出されています。日本からも男性自衛隊員3400名の一日コーヒー5杯以上飲む人と飲まない人との調査でも糖尿病発病に差のあることを報告しています。コーヒーが糖尿病発病を予防するとする説はほぼ間違いないと考えます。

 しかしコーヒーを飲んで糖尿病が直ったとか、血糖コントロールが良くなったと言う報告は今のところ見当たりません。

コーヒーには200種類の成分が含まれていますが、そのなかのどの成分が有効なのかは明らかにされていません。ただ2,3の話として、カフェイン抜きのコーヒー飲用者でも糖尿病発病は予防されますが、カフェイン入りの方が発病者はもっと少ないと言う報告があります。カフェインの動物実験で少量ではインスリン効果を弱めるが、大量ではインスリン分泌を促すといわれています。さらに他の有効成分の一つとして、コーヒー中のマグネシウム含有の高いことが挙げられています。マグネシウムはインスリン作用を活発にするといわれています。もう一つはコーヒー中のクロロゲン酸と言う成分です。これは血中のGLP—1(今後製品化されることになっています)を増しインスリン分泌を促進させる作用をもています。

コーヒーのその他の効用として肝癌、肝硬変の進行防止、喘息発作を抑え、高尿酸値の低下作用もあるといわれています。

コーヒーは明治21年に東京上野の「可否茶館」ではじめてコーヒー店として誕生しました。それより117年経っています。半世紀前のコーヒー店全盛期時代の懐かしい思い出だけは残っているでしょう。10 月1日は世界中の「コーヒーの日」です。もう一度コーヒーを見直して嗜好してみてはいかがでしょうか。