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ヘモグロビンA1cを良くするための血糖値とは

  2006.8.21  

 糖尿病治療する、療養することの目的は合併症を防ぐため、進行を抑えるためにすることです。そのためには高血糖を改善しヘモグロビンA1c6.5%以下にしなければなりません(これから先のヘモグロビンA1cA1cと略してお話します)。ところがいつもA1cを良好にしていると、一時的の高血糖が起こってもA1cの高くならないことをしばしば目にします。実際に当院外来でも朝食後で受診して血糖値が200mg/dlの人がいますがA1c6.5から6.7%を維持しています。全外来患者さんを調べますと57名いることが分かりました。

 A1cはこれ迄の2ヶ月間(正確には4ヶ月間)の総ての血糖値を反映して測定されるものです。2ヶ月間の糖尿病の総括がA1cでありますが、A1c50%は最近1ヶ月間の平均血糖値を示し、それ以前の1ヶ月間の血糖値はA1c25%に関係しているといわれています。つまりA1cの数値の50%は最近1ヶ月間の療養態度を見ているもので、最近1ヶ月間の生活の過ごし方がA1cの半分を決めているといえます。

ここ迄のお話は国内で科学的に立証され明らかにされています。

 次の課題として、日常診療でA1cの高い患者さんを診察する際にどこの血糖値が悪くてA1cがさがらないのか、どこの血糖値を下げるとA1cが下がるのかについては国内、海外からも明らかな報告が出されていません。丁度1999年頃から食後高血糖の病的意義が注目され、欧米及び国内からも食後高血糖でいると心血管障害が起こり易くなり食後高血糖改善剤を投与したグループでは心血管障害の抑えられることが明らかにされました。一方で糖尿病合併症はA1cの悪化で引き起こされ、進行することが明らかにされています。つまり食後高血糖が続くとA1cが高くなり、高いA1cのままでいると合併症がおこるという一連の筋書きができ上がります。さらにもう一つ心に止めておくべきことは、A1cが測定できなかった時代1980年代以前は空腹時血糖値のみをみて治療してきました。空腹時血糖値を140mg/dl以下にすることが患者さんと医師の最大目標でした。当時は自己血糖測定器もなかった時代ですから、恐らく経験的に空腹時血糖に注目して治療していくと合併症が抑えられることが分かったのでしょう。朝食前血糖は前日の夕食を取ってから受診時まで食物をとらないので安定した血糖値と考えられます。この条件で毎月1、2度の受診で病状経過をみるのが通例でした。

 そこで当院では朝食前血糖と三食後高血糖がいかにA1cに影響するか、寄与するかを調べる研究を2002年から開始しました。非常に多くの患者さんに自己血糖測定をおこなってもらい、その成績をまとめることができました。本年5月に開催された日本糖尿病学会(東京)で発表したことをご報告し、研究に参加して下さった患者さんにお礼申し上げます。前置きが長くなりましたが、研究本文は10月にここでご報告致します。

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