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          糖尿病食には和食(日本食)が一番

 19.10.23

   和食の定義はむつかしく広義、狭義がありひと口で解釈することはできないようです。広義では「日本周辺の食材を用い、日本の国土で独自に発達した料理」といわれています。一方狭義では「日本人が長い間食べてきた食事で、それが日本独特のものである料理」といわれ、特に味付けや調理法を重要視しています。一般に日本食の特徴は1新鮮なものを用いる、2季節感を出す、3うまみ系調味料を用いる(弥生時代は貝のスープ)、4おいしい水を用いる、5見栄えを極めることであります。しかし日本食の判断に難しいものがあり海外起源であっても日本人向けに工夫されて日本食様になったものがあります。「しゃぶしゃぶ、ラーメン、カレーライス、オムライス、豚かつ、豚肉しょうが焼き」などがあります。

和食が糖尿病患者さんの食事として最適であると言う科学研究論文はありませんが、同一の食材を用いて洋食と和食を作ったとすると洋食の方がカロリーの高くなることが予想されます。

和食の基本は主食(ご飯)と一汁三菜が一般といわれています。一汁は味噌汁ですが三菜は焼き物、煮物、なますが基本です。偉い人には二汁五菜、三汁七菜とありますが将軍様には二汁五菜が日常食で副菜(おかず)は野菜が主だったといわれています。食材は米と野菜、豆類などの農作物を主とし、海産物、鳥類の肉が蛋白源となっています。これらはまさしく食品交換表の表1、表3、表6の食材といえます。しかも調味は塩と大豆加工品(しよう油、味噌)、米加工品(酢、酒)を用いていますから、仕上がった日本料理は高塩分、低脂肪でカロリー過剰になる筈がありません。

和食の食べ方はご飯を食べ次におかずを食べるのくり返しで、ゆっくり食べることにより料理を良く味わい、ご飯を食べる前のおかずの味を消し、次のおかずの味を味わうとしています。

食後高血糖の上昇度は早食いすると高く、ゆっくり食べると低くなりおまけに肥満防止になります。日常食はできるだけ和食をとることとし、一日3食中2食は和食をとるようにして下さい。さらにおかずは野菜料理にして品数を多くすることです。煮もの、炒めもの、蒸しもの、和えもの、お浸しなど、野菜料理メニュー毎に2品目づつ覚えておくと配膳の色どりが豊かとなり、楽しい食事となります。色彩の種類の多い食材はなんといっても野菜です。黒(黒豆、黒ごま、ひじき)、白(大根、白菜、もやし)、青(ほうれん草、小松菜、ピーマン)、黄(かぼちゃ、パブリカ)、赤(とまと、人参)。

日本人はもともと農耕民族で弥生時代に稲作が伝来しましたが、食用家畜の伝来はありません。それに加えて西暦676年天武天皇は「殺生禁断の令」を公布し、その後1200年間は食肉は禁止されてきており、明治時代より日常食に用いられるようになりました。

調味料の種類、うま味は日本人の最も得意とするところです(塩、酢、味噌、しょう油、わさび、しょうが、山椒、ねぎ、大根おろし、しそ、とうがらし、だし汁……乾燥こんぶ、干し椎茸、かつお節、煮干し)。これらを上手に用いて和食を作ると、糖尿病食でも料亭で出す懐石料理とほぼ同程度の料理ができると確信します。