正常人と糖尿病患者の白内障の違い 2008.10.21 白内障は老化現象の一つです。人間に限らず動物は犬・猫・ライオン・象問わず白内障になり、一般的に人間では60歳くらいから徐々に始まり75〜80歳くらいで手術が必要になります(もちろん個人差はあります)。一方、糖尿病の合併症・薬の副作用・怪我・生れつき等老化以外でも白内障になります。では、糖尿病の合併症で起きた白内障と一般的な老化による白内障ではどのような差がみられるのでしょう? まず言えるのは、糖尿病合併症と老化では視力の面、白内障の形等見かけ上はほぼ差はなく基本的には区別はできないということです。しかしながらいくつかの状況からの区別をします。 1.年齢 先にも述べたように白内障になる年齢はほぼ60歳以上ですが、例えば30歳代で白内障が起きたとすると、それは糖尿病の合併症の可能性が高いと考えられます。 2.進行速度 糖尿病による白内障の場合は進行が速いといわれます。老化による場合は10年くらいかけて徐々に進行するのが普通ですが、糖尿病によるものの場合は2〜3年で進みあっという間に視力に影響が出てくるといわれます。 以上から、若くして白内障になり早く進行して視力に影響が出てきた場合は、老化による白内障とはちょっと違うと考えます。ただし、もちろん個人差が大きく老化による白内障でも進行が早い人もいるし、50歳代で白内障が始まる人もいます。また現在の日本の医療では手術によって取り除いた物(組織)の実験使用は禁じられており、本質では区別しにくいというのが現状です。 最後に白内障の手術のことに触れておきます。糖尿病の方は血糖値のコントロールが悪ければ手術はできません。理由は、手術後の傷の治りが遅い、手術後に細菌が入りやすい、炎症が治まりにくい等ありますが、特に重要なのは糖尿病網膜症が急に悪化してしまうことがあるということです。したがって、コントロールが悪いときは手術を見送る方が良いでしょう。具体的にはHbA1Cが7.0%台に下げておいた方が無難でしょう。 |