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     外食、間食、飲酒がHbA1cに及ぼす影響

2008.2.16

去る2月7日(土)に札幌市病院学会で発表した研究内容についてご報告します。この研究は昨年8月中に受診された240名の患者さんにアンケート調査した結果を病棟看護師の小杉さんが発表したものです。

一般に三食の食事を多く取りすぎてはいけないことは誰でも知っています。これに加えて外食、間食、飲酒のとり過ぎも糖尿病を悪くすることはよく知られています。

今回は朝昼夕食以外の飲食物の取り方が、いかにヘモグロビンA1cHbA1cと略します)を悪くするかを調べました。この調査では特に血糖コントロルの悪い人を対象にしたものではなく、8月上旬の一週間に受診された患者さんの皆さんにアンケートを依頼したものです。ですから食事療法の人から内服剤、インスリン治療の人も含まれています。

まず初めに外食に関する調査から述べます。外食をする人としない人の平均HbA1cはそれぞれ6.8%と6.6%で大きな差は見られません。しかし夕食に関しては外食を良くする人(頻度の高い人)ほど当然HbA1cは高くなっています。外食を最もよく利用するのは昼食で57%でした。また良く注文するメニューはそば、和食、寿司の順でカロリーの高いものは取っていません。次に多い外食は夕食38%です。夕食のメニューは寿司、中華や洋食、和食の順で高カロリーのものが選ばれる傾向があり、夕食時に外食の多い人(頻度の高い人)ほどHbA1c(7.8%)が高くなっています。また夕食時の外食は友人、家族、職場の同僚などとの会食となり雰囲気が盛り上がり、カロリーの高いものを多くたべることになります。

次に間食の調査について述べます。間食をする人達の平均HbA1c6.8%はしない人達の6.5%に比べ明らかに高くなります。また間食を良くする時間帯は夕食後よりも昼食後の方が多いです。間食とHbA1の関係をみると夕食後に間食する人達のHbA1c7.2%は、朝昼食後の間食と比べ高くなります。夕食後の間食はながら食いが多く、高カロリーのものをだらだらと食べている、間食後の運動をしないなどで就寝時にかけて高血糖が続いていると考えられます。

次の飲酒では興味深いデータがでました。飲む頻度が毎日から月1回だけの人達の間ではHbA1c6.5から7.0%で飲酒頻度による差は見られませんでした。問題は飲酒時のツマミにありました。干物、珍味でHbA1cは最も高くなり、夕食時のおかず(肉、魚、刺身)ではそれほど高くなりません。油物で味付け調理した物では高くなり、夕食時の外食に加えて飲酒をすると更に高くなります。

今回の研究で分ったことは次の3点です。

1 夕食時の外食は昼食時の外食よりHbA1cを悪くする

2 夕食後の間食は朝、昼食後の間食よりHbA1cを悪くする

3 適量の飲酒はHbA1cに影響しないが、アルコールのつまみとしてとる物により

  HbA1cは悪くなる。つまり飲酒よりツマミが悪いことになります。