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第52回日本糖尿病学会開かれる    

2009.6.5

■毎年5月に開かれる日本糖尿病学会は滋賀医科大学柏木厚典教授が主宰され大阪国際会議場で行われました。 日本糖尿病学会は数年前から外国人の招待講演や発表者が多くなり、とくにアジアからの研究者が多くなりました。従って発表言語は英語で、英会話力がある程度なければ情報収集、研究レベルをうかがい知ることができません。講演すべての解説はできませんが最近の話題にしぼってお話します。

 まず、今年秋以降に発売される新薬DPP-4阻害剤はこれまでの薬剤と作用機序が全く異なるもので画期的な薬として期待されています。国内外からの成績発表がありました。最近アメリカで行われた報告で非常に厳格に血糖コントロールすると合併症(特に心血管障害)が防止できるかについて研究が行われました(アコード試験)。ところが重症低血糖とか心臓病で死亡する患者さんが出てきたため中止せざるを得なくなりました。こののことがあり厳重な血糖管理の良し悪しに関しては外国人研究者との国際討議がありました。またきめ細かく血糖値管理をする目的で海外では24から72時間通して血糖値測定ができる持続血糖測定器が用いられています。日本でも数年前から実験的に全国数箇所の病院で行い発表していますが、保険適用外でもあり、値段も高く、機器管理も充分でない為症例数も少なく定説といえる成績が出ていません。

 ちようど新型インフルエンザの大流行であったため、みんなマスク越しの話し合いで顔が見えず少々話が遠くなった感じがしました。(院長)

第52回糖尿病学会年次学術集会に参加させて頂き、その規模の大きさに驚きました。糖尿病に関する研究が日本全国各施設で取り組まれ(当院院長も演題を出しています)、また日本の糖尿病医療が世界と肩を並べていることを目の当たりにした気持ちでした。海外の先生方の研究講演は(同時通訳)とても難しい内容であったのですが、新たに革命的な治療(B細胞の新生など)の研究が進んでいることを知りました。糖尿病治療が進歩を遂げるのはこの上なく有り難いことです。ただ、どんなに良い治療ができたとしても過食や運動不足などの生活習慣を是正することの大切さは心にとめておかねばならないとも思いました。(小杉看護師)

■学会の発表で面白い演題がありましたので、ひとつ報告します。

びわの果汁が手についたまま自己血糖測定すると血糖値が高く出るという発表でした。本当の血糖値は100mg/dlなのですが、果汁がついた手で計ると340mg/dlと高く、またアルコール綿でしっかり消毒していない場合も270mg/dlと高いままでした。皆さん家で血糖値を計る前には手をキレイにしてから計ってください。高くしまいますよ。(森居看護師)

■17の会場で同時刻に様々なテーマが発表されるため、演題選びに悩みました。薬物療法として一番の注目はやはり新薬、消化管ホルモンインクレチン(GLP-!, DPP-4阻害薬)の報告でしょう。また、2008年発売以来人間の生理作用に近いことで期待されているインスリン2種類の比較検討や、昨年ごろから次々と各社モデルチエンジしたインスリンペンの比較調査報告。また最近話題のBOT療法(インスリンと血糖降下薬併用)は当院でも以前から行われていましたが、その使用成績が多く報告されました。運動療法としては特定保険指導で注目を浴びている身体活動強度Mets(メッツ)を取り入れた運動方法の報告がありました。(軽い掃除、料理=2.5Mets

ぜひ何らかの形で皆さんにフィードバックしたいと思います。(佐々木薬剤師)