新型インフルエンザと糖尿病 2009.9.14 今年のインフルエンザは3月にメキシコで発生し豚由来A/H1N1といわれています。毎年流行している一般的な季節性インフルエンザと毒性はほぼ同じくらいですが、感染拡大が著しい世界的大流行(パンデミック)となっています。今は暖かく小康状態となっていますがこれから秋、冬にかけて大流行するのではないかと予想されています。 インフルエンザは呼吸器系感染症で咳き、くしゃみで飛び散り口腔は勿論、顔面、髪、衣服、手に付着します。鼻、のどの粘膜細胞から侵入し次々と増殖していきます。感染から発病迄の潜伏期間は1〜3日で、突然に39〜40度の高熱、悪寒ふるえが3〜7日以上つづきます。身体の筋肉痛、関節痛を伴い吐き気、腹痛、下痢することもあります。これらの症状は勿論未治療でいた場合のことで一般には突然の高熱で病院受診されると思います。病院受診すると鼻咽喉粘膜液または鼻汁をインフルエンザ診断キットを用いA型かB型かを判定します。しかし豚由来新型インフルエンザか否かの診断はできません。 その確定診断するには北海道道立研究所または札幌市衛生研究所で調べねばなりませんが、依頼検体数が多くて調べ切れないようです。 病状の重症の人は発熱外来、感染症病棟をもった病院へ受診しなければなりません。高熱があり、生死にかかわる緊急の治療を必要しない場合にはタミフル、リレンザの抗ウイルス剤を5日間服用し、自宅療養でほとんどの患者さんは回復します。しかし妊婦、幼児、高齢者、慢性の肺、心疾患をもつ人、腎障害や糖尿病の人は重症化する心配がありますから慎重に治療する必要があります。 ■ 糖尿病患者さんのインフルエンザ対策を考えてみます。 インフルエンザや他の病気を持った時は「シックデイ」といって特に注意する日となっています。血糖値コントロールが悪い人、心腎障害を併発している人、高齢者は病状が急に悪化する事がありますから早めに受診するようにして下さい。できればこのような人は人混雑の場所に行かない、外出時はマスク、帰宅時はうがい、手洗い、入浴も多めにするのが良いでしょう。 インフルエンザに罹患した可能性のある時はできるだけ早めに受診して下さい。そしてインフルエンザと診断されたら次の事に注意して下さい。 食事は水分を多めにしておじや、シチュウ、豚汁などが好ましいです。食欲がなくても1、2口でも食べるようにして下さい。脱水状態はこわですから水分補給は十分にしておいて下さい。糖尿病内服剤は食事がとれない時は服薬中止とします。インスリン注射は食事の半分量以上とれていたらいつもどおり、半分量以下では2単位から6単位の範囲で自己血糖測定に見合わせて注射するようにして下さい。特に尿中にケトン体が検出された時は点滴注射を必要としますから医師の指示に従って下さい。
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