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STOP! 動脈硬化症

 

2013. 11. 25

人は血管から老いるといわれ、加齢とともに血管も傷み、血液の流れが悪くなります。こうした血管の老化が動脈硬化といわれる状態です。動脈硬化が起っていても症状を感じることはほとんどなく、放置すると知らず知らずのうちに成長し、やがて心臓や脳などに重大な病気を引き起こします。実際に日本人の約4人に1人は動脈硬化が原因となる心疾患や脳血管疾患で死亡しています。

動脈硬化のメカニズムは、血管壁の傷んだ所から悪玉(LDL)コレステロールが血管壁に入り込み、プラークという「こぶ」を形成、やがて血管が狭くなり、血液の流れが悪くなります。危険因子には高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙などが挙げられ、これらにより動脈硬化が進展します。なかでも糖尿病は境界型といわれる糖尿病以前の時期から動脈硬化が生じるといわれ、予防のためにはできるだけ早期からの治療が重要です。また、女性も閉経後は女性ホルモン(エストロゲン)の欠乏により悪玉コレステロールが増加するため動脈硬化が急増するといわれています。

スクリーニング検査には頸動脈エコーや脈波検査(PWVABI)を行います。頸動脈エコーでは首の動脈の血管壁の厚みやプラーク(動脈硬化のかたまり)の形成を観察します。脈波検査は両手、両足の血圧測定を行い、下肢動脈のつまり具合や硬さを調べます。頸動脈の状況から脳や心臓の動脈硬化を推測します。

動脈硬化によっておこる代表的な病気には、狭心症・心筋梗塞、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症があります。心臓、脳、下肢の血管が動脈硬化によって狭くなったり、つまったりすることで、胸の痛み、手足の麻痺、下肢の痛みなどさまざまな症状が出現します。これらの病気はQOL(生活の質)の低下をまねき、ひいては生命を縮めることとなります。治療法には薬物療法、カテーテル治療、外科手術がありますが、最近はステントを用いたカテーテル治療が広まっています。

近年、生活の欧米化や高齢社会の到来によって「高血圧、脂質異常症、糖尿病、肥満」などの生活習慣病の患者さんが急増しています。これらが動脈硬化につながる疾患であり、初期のうちであれば、ご自身の食生活や日常の生活習慣を見直すことで動脈硬化を予防、改善することができます。正しい病気の知識を理解し根気よく毎日の自己管理を続けていきましょう。

                              文責 石井 勝久

 

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