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もっと「和食」を食べましょう

 

2013. 11. 25

「おせち料理」は奈良時代に中国から伝来した一年5節会の正月の節会(せちえ)に供された節供に由来しています。今の御節料理とは異なるもので和食といえるものではありません・

では日本料理のルーツはどこにあるかとなると、大昔の弥生時代に「ご飯と魚」で生活したのが始まりのようです。奈良、平安時代に入り庶民と貴族階級が確立されて、貴族の食材、容器が豊かになり形式が整ってきました。そもそも和食の言葉は江戸、明治に入り洋食が入ってきてからのことです。「洋菓子と和菓子」、「洋服と和服」、「和裁と洋裁」は同じ頃と考えられます。しかし和食の形式が整えられたのは鎌倉、室町時代になります。食材が変わっただけでなく、食生活全体が変わりました。木製さじで食べていたのがお箸に代わり,椅子に腰掛けて食べていたのが畳(安座)に代わります。畳に座るとお膳の容器は手元から遠くになるので容器を手にして食べる風習となりました。容器を手に取り食事をする民族は日本人だけのようです。

平安時代は生ものが主菜になっていましたが鎌倉時代に中国から煮たり、焼いたり、すり鉢を用いる調理方法が入ってきて、徐々に和食の型作りが出来上がっていきます。生魚刺身を作るために包丁(片刃)をつくる技が発達し、容器も木製のお椀に漆がぬられ和食の美意識が盛り上がってきています。そして室町後期における千利休の茶道の懐石が和食を更に完成させました。つまり食材、食事の供し方、物静かに自然と一体化して「わび」の境地で、食事の供し方、食することの総てが極められました。

平成25125日にユネスコ無形文化遺産として承認された和食は「一汁三菜」の一般的な庶民が食する食事と考えられます。和食の素晴しいことは和食の米文化5000年が過ぎて、それが日本人の体質にかなったDNAができ上がったことだと思います

食文化史研究家永山久夫氏によると和食の利点を次のように述べています。

1.人を和やかにする 2.気持ちが和らぐ 3.温和にする 4.ほどよい、ほどほどである

5.混ぜあわせてバランスがとれている 6.加える数の総和がよい(意味が分かりません) 7.大和、日本を意味する

「和」という字は上の6項目のように穏やかな雰囲気をかもし出しています。「和紙」、「調和、「和解」、「和紙」、「和睦」、など。

それでは和食が糖尿病食として好ましいか否かは常識的に判断できますが、残念なことに学問的に証明している論文は見当たりません。あまりに当然のことで、当たり前の話では研究のテーマにならないのかも知れません。最近の糖尿病学会の報告では和食週5回とるグループと週3回グループを比べると週5回グループではHbA1c1.0%低いといいます。また学校給食を週5回米飯にすると体重が低下したと新潟県三条市小学校長が話しています。当院でも入院食で和食週5回やると、血糖コントロールがよくなることを経験しています。

和食の中身はご飯、香の物と「一汁三菜」ですが、会席料理、懐石料理、禅、茶道で踏襲されています。

一汁は「味噌汁」や「吸い物」、三菜は「主菜」魚、肉、卵、豆腐などの煮物、炒め物、「副菜」は野菜、イモ類豆類、海藻の煮物、炒め物、「副副菜」は野菜の酢の物、和え物となっています。当院ではかなり前から毎日の食事は食品交換表の表1、表3、表61.3.6食事)でまとめて下さいと話しています。江戸時代には「副菜」に刺身も用いています。更に考えて旬の食材を用いて五色(赤、青、白、黄、黒)、五味(甘,酢、塩、渋、辛)、五法(生、焼、煮、揚、蒸)を取り入れると栄養的、色彩的、味覚的に理想食となります。むしろ今の食事と比べるとご馳走、豪華食となるかもしれません。

とくに「だしのうま味」を忘れた若い女性は母親に和食の作り方を教えてもらうよい機会かもしれません

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