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糖尿病の番目の合併症―それは歯周病です

 

2013. 7. 18

歯周病は、歯ブラシや歯磨き粉のコマーシャルでも良く耳にする病気です。この歯周病は過去には単に「口の中の炎症」と捉えられていましたが、実は血管を通じて口の中の細菌が全身の各所に侵入し全身の病気に影響を与えることがわかってきました。糖尿病患者さんは歯周病にかかりやすく、重症化しやすいこと、また歯周病の治療をしても治りが悪いことが問題になっています。

歯周病は炎症が歯肉に限局している「歯肉炎」と、歯の根元の土台となる歯槽骨に炎症が及んでいる「歯周炎」の2つがあります。 歯周病の起こる原因は歯垢(=プラーク)です。歯石の中の細菌が増殖して歯周病が悪化するわけですが歯周病は糖尿病患者さんの7割以上に起こるといわれています。 このことから歯周病は糖尿病の6番目の合併症と言われています。 糖尿病と歯周病の関係は下記のようになります。

  歯周病悪化      血糖コントロール悪化

歯周病改善      血糖コントロール改善

一般に身体の炎症(風邪や膀胱炎などの感染症)によって血糖は高くなりますが、歯周病も炎症なので歯周病があると血糖が悪化します。 そして、血糖が悪化すると更に細菌が増えやすく歯周病も悪化するという負の連鎖があります。 逆に歯周病を治療すると炎症が改善するので血糖も改善し、血糖が改善すると細菌が増えにくくなるので歯周病も良くなります。 歯周病の治療によってHbA1cが0.4%程度低下するという大規模調査結果も報告されています。 歯周病の原因は歯垢(プラーク)の中の細菌ですがその進行には生活習慣が大きく関わっています。 次の生活習慣に関する項目が当てはまる場合は歯周病になりやすい環境にありますので気をつけてください。

1 タバコをすう

2 間食が多い

3 良く噛まずに食べる

4 ストレスをためやすい

5         歯磨きをせずに寝てしまう

6         歯をきちんと磨かない。

更に糖尿病の合併症(神経障害・網膜症・腎症・心筋梗塞・脳梗塞) がある人、血糖コントロールの悪い人は重症な歯周病にかかっている割合が高いと報告されています。専門的なケア(歯石除去や歯のクリーニング)で歯周病を予防することができます。

1−6の生活習慣のある人は勿論ですが、糖尿病患者さんは皆、年に1回〜2回は歯科医院で検診を受けることをお勧めします。

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