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あなたの糖尿病に適った治療をしましょう

   

2014.10.9

糖尿病の病態はかって診断がついた頃の病状のままで経過しているわけではありません。たとえば歳をとるとこれまでの体調と異なり体の中も加齢化し、不都合な病状が出てきます。これを「高齢者症候群」といいます(動脈硬化、骨粗そう症、腰痛症、筋力低下=サルコペニア、認知症など)。

加齢に加えて患者さんの実生活では精神的、肉体的苦労がありますから、それらが身体の中でなんらかの臓器障害を起こしてきます。

この加齢変化は膵臓にもおよびインスリン分泌も年毎に低下しているためかもしれません。昔、札幌および近郊の養老院に出かけ糖尿病のない老人にブドウ糖負荷試験をやってもらうと、各年代ごとに血糖値の上昇するのが分かりました。このことは高齢者が年毎にインスリン分泌が低下していくのを示しています。 血糖値やHbA1cの改善が難しい人はインスリン分泌が低下してきているのかもしれません。

世界中の糖尿病医師は病状の変化を見て早い時期にインスリン治療を始めることとしています。一日1回の注射で朝の空腹時血糖値を抑えることにより日中の血糖値も下がり安定します。このやり方をBOTといってよく使われています。早期のインスリン注射で血糖値を低下、安定させておくと、将来の合併症が少なくなることがヨーロッパの有名な研究で証明されています。

インスリン製剤は効き方が長時間型、中間型、短時間型に分類され、患者さんのいかなる病状にも適ったインスリン治療ができるようになっています。そしてインスリン注射回数も極力少なくする工夫が考えられています。つまり注射による患者さんの生活の負担を少なくするようにしています。

一方、内服剤も作用効果の異なるものが数多く発売されました。

大きく分類すると次の通りです。

@  肝臓のブドウ糖生成を抑える薬
A 膵臓B細胞からのインスリン分泌を促進する薬
B  インスリンの働きを妨げる末梢組織のインスリン抵抗性をとる薬
C インスリン分泌作用をもつ小腸ホルモンを活性化する薬
D 腎臓からのブドウ糖排泄を促進する薬

これらの働きの異なる薬から、患者さんの病状をみて薬選びをします。しかしAさん、Bさん、CさんのヘモグロビンA1cが同じ7.5%でも、この数値に至ったAさんは地方出張が多く外食で通してきたため体重が増えています。Bさんは父親の入院、介護でほとほと疲れています。Cさんはコンピュータの仕事が忙しく食事と睡眠時間が不規則になっています。このような生活環境の違いで血糖値が高くなることはお分かりでしょう。

最近は患者さんの病状をよく調べて、患者さんも治療に携わってもらうことが厚生労働省から勧められています。これを「患者参加型医療と」といいます。患者さんもヘモグロビンA1cをよくするために検査や治療に参加してもらうということで、正しい食事や運動を実行し自己血糖測定するとか、尿糖を調べ医師と連携して治療を行ってもらうことです。

好ましい療養のやり方は定期的に人間ドックに入る気持ちで1,2年ごとに検査入院していまの糖尿病の実態を確認してもらうと、療養していくコツが分かり楽な生活ができるでしょう。

一度検査入院してご自分の糖尿病を見直して見ましょう。きっと良いことがあります。

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