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高齢社会の糖尿病診療

 

2014.2.5

2015年には人口の27%を65歳以上の高齢者が占めるといいます。当院でも通院患者さんの半数以上は65歳以上です。高齢の糖尿病患者さんはその発症時期も、若年発症から高齢になってからの人まで様々で、糖尿病3大合併症や他の併発症を有する人も多く、個人差が大きいのが現状です。

高齢に伴う身体的な変化として、

1.膵β細胞の障害にもとづく初期インスリン分泌の遅延・低下

2.筋肉量の減少(サルコペニアといいます)と内臓脂肪の増加により転倒の危険が出てきます。また筋肉はインスリンが血管の中のぶどう糖を運んで消費する場所になりますので筋肉量が減ると血糖値が高くなります。また、内臓脂肪が多くなるとインスリンの効きが悪くなります。

3.シックデイになりやすくなります。発熱や下痢、食欲低下に伴い高血糖や低血糖にもなりやすくなります。

4.高血糖の時は脱水になりやすくなります。一般に高血糖の時には口渇や多飲の症状が出ますが、高齢になると自覚症状が少なくなり容易に脱水に陥りやすい傾向がありますので早めに受診してください。

5.低血糖の自覚が少ない:自律神経機能低下により典型的な自覚症状を欠くことがあります。(無自覚低血糖といいます)

ふらふらして気が遠くなる、落ち着きが無い、力が入らないなどが低血糖症状である場合もあります。この無自覚低血糖を確認するために今年から外来でCGM(持続血糖モニター)を始めたいと考えています。CGMとは連続して皮下の間質液のグルコール濃度を測定し、血糖値を推測することの出来る装置です。CGMについては別の機会に再度お話しますが、夜間の血糖の状態や無自覚低血糖を発見するのに良い方法と考えています。

6.老年症候群の合併:老年症候群(例えば認知機能障害・身体機能障害・うつ症状・尿失禁・転倒)を合併する場合があります。

一言で高齢者といっても、80歳で毎日藻岩山に登っている習慣をお持ちの患者さん(私より体力あると思われます)や日常生活が困難な患者さんもいます。加齢により上記のような身体的変化を受け入れながらその人らしく生活していくためにはどうしても個別の対応が必要となります。医療者だけでなく、介護制度も利用しながら生活全般を支えていくことが大切です。

また、最近は独居の高齢者も増えており家族が遠方にいるために病状を把握してない場合もあります。家族が、親孝行受診と称して患者さんの病状を年に1誕生日の月に聞くことも大切だと思います。

ここでお知らせですが、高齢の糖尿病患者さんをまわりのみんながどのように支えていくことが患者さんにとって幸せなのか。また患者さんの家族はどのような希望や考えを持っておられるかなど、ざっくばらんにお話しする機会を持ちたいと思い左記に日時で会を催すことになりました。様々な人達(医療者・介護関係者・患者さんの家族)とお話したいと思いますので興味のある方は坂井医師までご連絡下さい。

 

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