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老後の転ばぬ先の4本の杖

〜大病で床につく前に備えておきたいこと〜

2016.8.26

人間は誰しも年をとります。

個人差はありますが、長生きするにしたがって筋力や認知機能が低下し生活活動も衰えてきます。 今は元気に現役で活躍している人も、いつ大きなケガや病気になるかもしれませんし、糖尿病では合併症進行によりからだの機能が低下する心配があります。

そこで、今から10年後・20年後の自分や親のことを想像してみて下さい。 今と同じからだの状態で、同じ治療のままでいられるでしょうか。 ほとんどの方は『NO!』で、「自分は大丈夫!」「まだ先のことだから・・・」「考えるのは面倒」と思っています。 しかし、自分で生活の管理ができなくなってから考えるのでは遅いのです。

 今のシルバー世代は「他人の世話にはなりたくない」「子供に迷惑をかけたくない」と考える人が多く、生活が不便になってもなかなか他人の手を借りようとしません。 そのため介護支援サービスを拒んだり、子供の援助を断ることが少なくありません。

また、子供の家族側の問題もあります。 親が認知症になっても受け入れ難かったり、突然「介護が必要」と言われても準備していないのが現状です。

当院では、働き盛りの頃に糖尿病を発症し高齢になって自己管理が難しくなった患者さんの経過をたくさん見ています。 そこで考えさせられたことは、年をとっていく過程で予測される病気の状態や変化を知り、それに対する早めの準備が必要だということです

そこで 今から考えておくこと、準備することを4つにまとめましたので(老後の4本の杖)、今後の生活の参考にしてみて下さい。

 

  □1本目の杖 生活の管理を主にしてくれる人(キーパーソン)

 自分で管理が難しくなった時には、誰かに面倒をみてもらわなければならなくなります。

 キーパーソンは生活のお世話だけでなく、医療や介護の相談を受ける役割をする「最も大事な杖」となります。 特にインスリン治療をしている人には必要な存在です。 キーパーソンは重要な役割ですから、その分の負担も大きくなります。 早いうちにキーパーソンとなる人を準備し、一人だけの負担にならないように家族や周囲の調整をすることが大切です。

  □2本目の杖 介護認定の申請

 からだや認知能力に不安を感じたら、まずは要介護認定の申請をすることをおすすめします

 介護認定の申請は65歳からできます要介護認定されることで、「もしもの時」には介護サービスを利用しやすくなり、病状によっては訪問看護を利用することもできます。 介護支援専門員(ケアマネジャー)が、介護に関する相談を受け支援を行います。

  □3本目の杖 定期的な受診

 高齢者の糖尿病は症状が乏しく病状の変化に気づきにくいため、知らぬ間に病状が重症化してしまいます。 そのため定期的に受診し、必要な時期に適切な検査・治療を受け、病状を安定させておくことが大事です。

  □4本目の杖 老後の費用

 加齢と共に病気やケガの受診率は上がっていきます。

 治療費以外にも交通費や入院準備等の思わぬ費用や、介護が必要な状態になった場合の費用も必要になります。

いざという時に困らないよう家族と話し合い、準備することも考えておきましょう。

 

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