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明けましておめでとうございます

2019.1.10

今年も皆さんの血糖コントロールに役立つアドバイスができるよう職員一同頑張ってまいります。よろしくお願いいたします。

現在でも糖尿病治療の指標としてHbA1cが活用されていますが、最近は「HbA1cの質」が問われるようになりました。持続血糖測定器の登場で1日の血糖変動の評価が可能となり、同じHbA1C値でも血糖変動が少ないコントロールが理想であり、やみくもにHbA1cを下げるのではなく、心血管病や認知症の危険性を考慮して低血糖を避けることも重要と考えられています。

皆さんには、質のよい血糖コントロールのため、普段の生活のなかでの血糖変動に関心を持っていただきたいと思います。生活のささいなことで血糖値は上がり下がりしています。血糖変動というと、食事や運動を思い浮かべる方が多いと思いますが、実は毎日の睡眠も大きく関係しています。今回はこの睡眠について考えてみたいと思います。

普段忙しい生活を送る中で、心や体をリフレッシュするために最も大切にしたいことが睡眠です。眠ることで、体の動きを止め、外界の刺激を遮断して精神活動を低下させます。それにより、疲労した心と体はリセットされ、明日への活力を得ることができます。睡眠は最強の休息法です。

一方で睡眠不足は、交感神経を活発にするホルモン(カテコラミン)の分泌を増し、血糖、血圧、心拍数を上昇させます。このホルモンは、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの効きを悪くするインスリン拮抗ホルモンとして働き「インスリン抵抗性」を高めてしまいます。

睡眠時間は人それぞれで、長ければよいもでもなく、日中の眠気で困らなければ問題はありませが、7時間睡眠が最も長生きするとも言われているようです。

睡眠不足の解消は、睡眠薬に頼らず、生活の工夫により眠りを妨げるものを取り除き睡眠全体の質を上げることが重要です。ポイントは @規則正しい食事と運動を。当たり前のことですがとても重要です。A夕食後のカフェインと就寝前の喫煙を避け、軽い読書や音楽、ぬるめの入浴などを励行。B光の利用を効果的に。起床時に日光を浴び、日中も日光を浴びる、夜間は照明を明るくしすぎない。夜のパソコン、スマートフォンは注意。などなど。参考にして下さい。

 

今年はいよいよ平成が終わり新たな時代が始まります。平成の30年間で糖尿病の検査や治療は大きく進歩してきましたが、次の時代には再生医療技術が進み、機能が低下した膵臓がよみがえり、糖尿病が治る病気へとなることを期待したいと思います。

医師 石井勝久