糖尿病患者の寿命と死因 2020.7.11
この主題の論文は4年前 2016年7月に発表された糖尿病医学誌の論文です。しかも研究された期間は2001〜2010年の期間に死亡した45708例の膨大な患者症例数を調べたものです。しかしこれだけの大研究はこれまでに例はなく果たして今後この続きの研究が出るか否かは予想が付きません。この研究は当時の名古屋大学の内科坂本信夫教授と教室医師らの総力を挙げて調査研究したものです。併せて全国の糖尿病医師が協力しています。まず死亡原因をみると最も多い病名は癌38.3%、2位は肺炎17.0%、3位は血管障害(心、脳、腎)14.9%です。癌の中でも肺癌が最も頻度が高いです。肺癌は年齢があがると頻度がかなり高くなります。これらの疾患の死亡前のHbA1cをみると、HbA1c良好群の平均寿命は悪化群と比べ1.6年寿命が長いということでした。 診療内容別で寿命をみると食事療法より内服剤療法、内服剤よりインスリン治療で死亡率が高くなっています。また死亡時の平均寿命は男71才(一般人79.2才)、女75.1才(86.2才)でした。これらの数値は10年前の調査であることを知っておいて下さい。しかし良いことには糖尿病患者の寿命伸び率は日本人一般人より大きいことが分かりました。糖尿病患者の寿命伸び率は男3.4才、女3.5才の寿命伸び率で、一般人男2.0才女1.7才となっており、合併症予防の療養生活は寿命を一般人よりも伸ばしているという話になります。 毎年7月31日は厚生労働省で日本人の健康寿命を公示しています。 2018年度の世界長寿番付は次の通りです。 女性 @香港 87.56才 A日本 87.32才 Bスペイン 85.73才 男性 @香港 82.17才 Aスイス 81.4才 B日本 81.25才 医師 佐々木 嵩 |