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「糖尿病教室」参加でHbA1c7.0% 

2022.10

  日本初めての糖尿病教育入院は昭和38年に東京都済生会中央病院の堀内光先生がおこないました。その後国立大学病院でも始められ、北海道では北大病院が昭和53年頃初めて私共の北大第二内科で取り入れました。しかし当時はまだ糖尿病患者数も多くなく、まして教育入院を希望する人も僅かでした。その運営も円滑に進まなかったため、約一年足らずで廃止となりました。その後、道内では教育入院を試みる病院がなく、昭和56年に私共の病院が道内初めての糖尿病専門病院を開設し、同年11月から糖尿病教育入院制度をスタートさせました。この間、多くの患者さんに接し、患者さんそれぞれの異なる病状、生活の過ごし方、考え方、生活環境に応じてお話し、指導してきました。

 教育入院された方は一度も教育を受けたことのない方と比べ血糖コントロールが良く、それが持続するように思います。糖尿病をよく知り、糖尿病とほど良い付き合い方を覚えると、良い病状で自信を持って生活できるものです。教育入院は日本国内の糖尿病専門病院でなくても、一般病院でも取り入れているほど、糖尿病治療の基本であり必要なものです。それを敢えて取りやめて糖尿病教室のやり方に変えるのに二つの大きな理由があります。ひとつは日本の糖尿病患者数が年間10万人ずつ増加しており(平成9690万人、平成14740万人)糖尿病教育は入院患者さんばかりでなく多くの外来患者さん及びその家族にも広く教育、啓蒙する必要があると考えました。もうひとつは、最近は入院患者さんは入院期間を短く希望される人が多く、教育プログラムを総て終了しないで退院される人が少なくないからです。少数の入院患者さんに充分な教育指導をすることは理想的な教育方法ですが、その他の多数の患者さんの教育が不十分なことは病院全体の診療レベルが高いとは言えません。

 

外来通院中の患者さんの中には、糖尿病教室に参加したことのない人が結構いおります。 糖尿病は治らない病気ですが、ちょっと糖尿病の話を聞く、少しの生活のやり方を変えるだけで病状が良くなり、安心して生活ができます。

例えばヘモグロビンA1c(A1cと略します)がなかなか7.5%以下にならない人が、従来の内服剤やインスリンのやり方のままで入院するとA1cが次第に改善されていきます。退院時には「あなたの糖尿病は悪くなっていませんね。正しい療養を続けると更に薬が減りますよ」と話すことになります。要するに外来治療中ではその人の療養すべき問題点が患者、医師、看護師ともお互いに分からないのです。医師、看護師が皆さんの日常生活ぶりを見ることができれば解決されるかもしれません。従って患者さんが数日入院することにより薬を増量することなくA1cは改善され、患者自身も生活の問題点が分かります。

来年からはA1c7.5%以上の方には糖尿病教室の出席を勧め、それで改善されない方には23日の検査入院を勧めることとします。

A1c7.0%以上は合併症が10数年後に発病してくることは世界中で認識されています。当病院は開設35年となり初期の患者さんには何らかの合併症が出てきています。合併症対策としてA1c7.5%以下にならない方には医師または看護師が声かけして糖尿病教室の参加を勧めることにしましたのでご了解ください。どのテーマの話を聞いたらよいかは看護師とご相談し、日付を予約してください。

 

 

佐々木嵩 医師

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