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糖尿病外来での目の検査

■当院では、糖尿病で通院されている方々全員に目の定期検査をお薦めしています。普通の場合、どういう検査を行なうのかご説明いたします。

 1.矯正視力検査 

 おなじみの視力検査です。5m先の(日本の場合)ひらがなを読んでいただきます。メガネもコンタクトレンズも使わないではかったものを裸眼視力といい、患者さんに一番あったメガネを使用して測ったものを矯正視力といいます。
糖尿病の定期検査としては、矯正視力の方が大切で、原則として毎回測定します。1.0が見えれば正常とされていますが、個人差があり、また同じ人でも体調のよい時とわるい時では見え方が異なりますので、他の検査所見と合わせて判断します。

 2.細隙灯顕微鏡検査 

 目の表面付近(角膜、結膜、強膜、眼瞼など)を、眼科用の顕微鏡を使って診察します。散瞳すれば水晶体(レンズ、ここが濁ると白内障)、硝子体、網膜なども見れます。  

 3.眼圧検査 

 眼球の弾力(硬さ・張り)を測定する検査です。眼には適度な弾力が必要で、あまり軟らかすぎてもだめだし、張りが強すぎて硬くなりすぎてもいけません。眼圧の正常値は10〜20mmHgです。

 4.眼底検査 

 眼球の内側にある網膜を診察する検査です。網膜を照らすために明るい光を使うため、非常にまぶしく少しつらい検査かもしれませんが、糖尿病の合併症は主に網膜に現れますので、欠かすことができません。目薬を使わず、瞳を自然な大きさのまま行なう場合は、眼底カメラを使っています。すみずみまで細かく診察することはできませんが、かなりの部分はわかりますので、網膜症の少ない方、ごく軽い方の定期検査は充分可能です。瞳を拡げる目薬を使いませんので、車を運転して帰れますし、すぐに仕事をすることも問題ありません。

 しかし、初めて眼底検査を受ける方や網膜症の軽くない方は、瞳を拡げないと充分な検査が行えません。そこで、瞳を拡げる目薬を使い(散瞳)、上記のカメラに加えて、直接医師が目の奥を診察します。瞳が小さいままだと見えない部分の観察や、網膜、硝子体の立体的な検査が可能になります。本来はこの検査を毎回受けていただくのが理想ですが、目薬の効果が5〜6時間持続するため、車の運転や、仕事の必要がある方は目薬を使いません。必要に応じて日を改めて受診していただくことにしています。

 5.散瞳 

 目薬を使って、瞳を開きっぱなしにすることを散瞳といっています。眼球の中を、充分検査するためには、この散瞳が必要です。ところが散瞳された患者さんは

まぶしい
近くのものが見えにくい
遠くのものが見えにくい など

いろいろ不快な症状が出て、仕事や運転にも差し支えます。検査を受けられる方にとっては、あまり楽ではないことですので、必ず医師は説明をし、許可をいただくことにしています。御理解と御協力をお願いいたします。
(散瞳せずに眼底検査を充分に行える検査機器ができるといいのですが、私の知る限り、今はありません)

■糖尿病の合併症である網膜症のすすみ具合は、視力などの自覚症状とあまり関係がありません。視力がいいのに重症の人もいれば、視力がよくなくても軽症の人がいたりするわけです。どんな程度の網膜症なのか、検査をしてみないと予想がつきません。目に対する治療のタイミングも検査によってかわります。また、網膜症の有無、軽重は内科でのコントロールにも大変参考になります。ですから、自覚症状があってもなくても、定期的に検査を受けていただくのが大切と考えています。糖尿病の療養のためには、内科の他に眼科も受診することが重要となりますが、仕事で忙しい方はもちろん、そうでない方も複数の病院、診療所に通うのは大変なことです。

 佐々木内科病院では、内科を受診した日にあまり待つこともなく、目の検査を受けられます。大きな病院で内科と眼科を受診している、内科と眼科を別々に受診しているというような方は、かなりの時間が節約できると思います。一度試してみませんか。