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今月の掲示板を更新しました(2026.2)
糖尿病と遺伝
私たちは人間のさまざまな特徴について「生まれつき(=遺伝)」と「環境」の両者の影響が大きいことを知っています。遺伝(体質)と環境についてうまく表した諺(ことわざ)の一つが、「蛙の子は蛙」(遺伝)とか「朱に交われば赤くなる」(環境)などがあります。
糖尿病は遺伝(生まれつきの体質)と生活習慣が複雑に絡み合って発症すると言われています。
糖尿病になりやすい遺伝因子というものは1つや2つではなく、500以上見つかっています。すべての人種において糖尿病の発症と関連する因子もあれば白人特有にみられる因子もあったり、アジア人特有の因子というものもあります。例えば白人と比較してアジア人の糖尿病の遺伝因子にはインスリンの分泌が障害される因子が多いことがわかっています。白人は強い肥満になると糖尿病が発症しやすくなりますが、アジア人はあまり太っていなくてもインスリンの分泌が低い遺伝的因子を持っている為糖尿病になりやすいという体質を持っています。さらに日本における研究によると、瘦せ型で2型糖尿病をもつ人は遺伝的影響を強く受けていることがわかりました。
肥満においては上手に痩せる人となかなか痩せにくい人がいます。
内臓脂肪の蓄積には食事量だけでなく食事の質や時間帯、さらに遺伝子情報も関係しています。しかし人間の体には遺伝子をオン・オフする機構があり、このオン・オフする機構は食事・運動・飲酒・喫煙などのライフスタイルが強く関係しています。つまり肥満の遺伝子リスクがあっても健康的な食事と運動習慣があればそれを克服できる可能性があるのです。だからこそ「太っていないから大丈夫」「遺伝だから仕方がない」そう思わず、今の自分の体を知り今から生活を大切にすることが何より重要です。
2024年の国民健康栄養調査によると糖尿病が強く疑われる人は約1100万人と推計されました。しかし指摘を受けて治療を続けている人は7割ほどで特に30~40代の働き盛りの世代では治療を受けていない人が多いことがわかっています
糖尿病は早く向き合う程穏やかに付き合っていける病気です。自分の体質を知りながら治療を中断することなく無理のない治療を継続できればと考えています。
文責 坂井恵子