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2026.05.01

今月の掲示板(2026.5)

お酒を楽しむために

お酒との上手な付き合い方を体への影響を踏まえて考えてみたいと思います。

昔から適量のお酒は百薬の長と言われてきました。お酒を飲むことで、食事が引き立ち、楽しい時間を送ることができ、人により付加価値を生み出します。一方で、飲み方を誤ると健康を害し、長期間にわたる過剰な飲酒はさまさま病気の原因になります。脂肪肝、肝炎などの肝機能障害はもちろんですが、糖尿病、高血圧、脂質異常、動脈硬化症、膵炎など全身のあらゆる病気の原因となります。一部のがん(咽頭がん、食道がん、大腸がんなど)との因果関係も指摘されています。

飲酒による糖尿病への影響は、適量を過ぎると血糖コントロールを乱すこととなります。アルコール摂取による体や血糖への影響は、

1、アルコールの分解産物がインスリンの効きを悪くさせます。

2、アルコール自体が高カロリーで、つまみを摂ると塩分の過剰摂取にもつながります。アルコールは1gあたり7Kcal。350ml缶ビール1本には約14gのアルコールが含まれ、約100Kcal(30分のウォーキング相当)になります。

3、アルコールには食欲を増進させる働きがあり、食事量を守れなくなるおそれがあります。

4、アルコールは肝臓からのブドウ糖の放出を抑えるため、夕食時や就寝前に多量に飲酒すると、深夜から翌朝にかけて低血糖が起こりやすくなります。夜間の低血糖は自覚できないことが多く危険です。特に糖尿病治療薬を使用している場合には注意が必要です。

5、アルコールは体内で解毒される過程で、多くの栄養素を消費します。慢性的な飲酒ではビタミン(B1・B3・B6・葉酸・A)やミネラルが不足しやすくなり、疲労感や回復力の低下につながることもあります。

 

糖尿病のすべて方が飲酒厳禁というわけではありませんが、血糖コントロールや合併症、他の疾患の状況より、飲酒の可否は異なります。

飲み方のコツは、すきっ腹では飲まず、食べながら飲むことです。アルコールの約80%は小腸で吸収されます。胃の中に食べ物がはいっていると、胃をアルコールから守り、アルコールが小腸にゆっくり進むため、吸収速度も遅くなり、血中アルコール濃度が急激に上がることもありません。食べながら飲むことは「飲みすぎ」の予防にもつながります。

お酒は体内に入ると肝臓で処理されます。代謝スピードには個人差がありますが、一般に体重60~70kgの人でビール500ml分のアルコールを処理するには約4時間かかると言われています。お酒を飲んで楽しくいられるのは、肝臓が黙々と働いているおかげです。毎日お酒を飲むと、肝臓に負担をかけてしまいます。週に2日以上の休肝日を作り、肝臓を休ませましょう。

国民健康づくりの指針(健康日本21)では、「節度ある適度な飲酒量」は、1日平均純アルコールで約20gとしています。これは日本酒で1合(180ml)、ビール(5%)ならロング缶1本(500ml)、ウイスキー ダブル1杯(60ml)、ワインはグラス2杯(200ml)、焼酎20~30度 0.6合(100ml)、チューハイ(7%)缶1本(350ml)、が目安となります。このくらいの量であれば、ほどよくお酒を楽しめるというわけです。

お酒との付き合い方を知ることで、自分にあったお酒の摂り方を見つけていきましょう。

医師 石井勝久

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